家づくりを進めていると、
多くの人が
一度は経験する場面があります。
それが、ショールームです。
キッチン、洗面台、トイレ、バス。
実物を見ることができるので、
「ここで決めればいい」と思って
訪れる方が多い場所です。
ところが、
実際にショールームへ行くと、
こんな声をよく聞きます。
「種類が多すぎて決められませんでした。」
「見れば見るほど、何がいいのかわからなくなりました。」
「一度持ち帰って考えることにしました。」
実はこれ、
とても普通の反応です。
心理学の世界では、
「選択過多」という現象があります。
人は選択肢が増えるほど、
判断が難しくなります。
例えば、キッチン一つでも
・扉カラー
・天板の素材
・シンク
・水栓
・食洗機
・収納の仕様
細かく見ていくと、
かなりの数の選択肢があります。
さらにメーカーが変われば、
また別の提案があります。
つまりショールームは、
比較するための場所でも
あるのですが、
同時に迷いやすい場所でも
あるのです。
ショールームで迷った結果、
多くの人がこう言います。
「おすすめで大丈夫です。」
「標準仕様でいいです。」
もちろん、
それが悪いわけではありません。
ただ、本当は
もう少し考えたかったのに、
判断する時間がなくて
決めてしまうこともあります。
そして後から、
「もう少し考えればよかったかも」
と感じることがあります。
これは知識不足ではなく、
判断の準備が
できていない状態で
ショールームに
行ってしまうからです。
多くの人が
誤解していることがあります。
それは、ショールームは
決める場所だと
思っていることです。
でも実際は少し違います。
ショールームは、
「確認する場所」です。
すでにある程度の
方向性が決まっていて、
実物を見て確かめる。
この順番だと、
迷いが少なくなります。
では、ショールームへ行く前に
どんな準備を
しておくといいのでしょうか。
大切なのは、
「判断の軸を
少し整理しておくこと」です。
例えば、
・掃除のしやすさを優先するのか
・デザインを優先するのか
・価格とのバランスを重視するのか
また、
・キッチンでどんな時間を過ごしたいのか
・家事動線はどうしたいのか
・家族の使い方はどうなるのか
こうしたことを
少し考えておくだけで、
ショールームの見え方が変わります。
同じ設備を見ても、
「自分たちに合うかどうか」で
判断できるようになります。
家づくりは、
設備を選ぶ作業では
ありません。
「判断の連続」です。
そしてその判断は、
図面を見るときも、
ショールームを見るときも、
同じように必要になります。
もし今、
ショールームで迷っているとしたら、
それは決して
珍しいことではありません。
むしろ多くの人が、
同じ場所で立ち止まっています。
少し立ち止まって、
「自分たちは何を大切にしたいのか」
を整理してみてください。
それだけで、
家づくりの進み方は
大きく変わります。
家づくりの相談を受けていると、
実はショールームの前に、
もう一つ
多くの人が迷うポイントがあります。
それは、
図面を見たときの判断です。
図面の中では広く見えた空間が、
実際の寸法になると
思っていたより
狭く感じることがあります。
次回は、
家づくりで多くの人が経験する
もう一つの
落とし穴について書いてみます。
「図面は実物より広く見える」
この錯覚が、
家づくりの判断に
どんな影響を与えるのか。
ここまで読んでくださり、
ありがとうございました。
ielie(イエリエ)主宰。一級建築士として沖縄の現場で25年の実績を持つ。現在は家づくりを予定しているご家庭向けに、ご契約前の間取りや見積もり診断のセカンドオピニオンとして活動中。